Vol.297

 

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令和元年6月27日から7月19日まで市医師会看護専門学校専門課程の学生さん32名(うち男子7名)が実習に来ました。看護師として現場で役立つ実習であったことを期待していますが、子どもたちと接してみて理解できたことや課題などをクラス別に実習記録からご紹介します。





◆ことり組(乳児)
 心理社会的発達について ― 6〜7か月ごろには特定の人と見知らぬ人を識別するようになる。その後愛着行動があらわれ、そばを離れると不安になって泣いたり、探し求めたりする分離不安が見られる。また見知らぬ人に対して顔をこわばらして激しく泣くなどの不安の感情を示す人見知りが見られるものである。しかし、登園する子どもに分離不安は見られず、初めて会う人に対する人見知りは見られたことから、保育園の先生との識別や信頼関係の構築ができていた。目を見て笑顔で話しかけたり、スキンシップを多くとることで、少しずつほほえんでくれるようになり、コミュニケーションの大切さとポイントを学ぶことができた。



◆つくし組(1歳児) 
 学びと課題 ― 1歳児は身体機能が著しく発達し、好奇心旺盛であるが言語的コミュニケーションはまだまだ未発達である。自己主張も強くなり、子ども同士のトラブルも多い。その中で社会的ルールを身につけ、心の成長をしていく。ほめる時も叱る時も具体的にわかりやすく伝えることが重要である。幼児をひとりの人間として尊重し、全員に意識を行き届かせ安全に集団生活が送れるようにするのが保育者の役割であることを学んだ。成長発達には個人差が大きく、見守るとともに基本的生活習慣の自立を促す声かけが重要でとても難しいことを実感した。


◆つぼみ赤組(2歳児)
 コミュニケーションについて ― 幼児期は言語的コミュニケーションの発達が目覚ましい時期である。言葉で自分の意志を言えるようになってくる。
  また「これなあに」「どうして」など様々に質問を繰り返すようになってくる。また言葉の数も増え、歌が上手に歌えるようになったり、子ども同士の間でも言葉が交わされるようになり、少しずつ言葉でのコミュニケーションがとれるようになってくる。


◆つぼみ青組(2歳児)  
 学びと課題 ― 保育園では基本的生活動作の獲得、友達との関わりの中で社会性、精神を育む場所である。月齢差のある子どものペースに合わせ、分かりやすく教えてあげたり、苦手なことに取り組む際に「カッコイイところを見せてね」など子どもが自主的にやれるような接し方で成長発達を促すことを学んだ。また保育園で上手に築けた生活習慣も自宅で夜型の生活をすることで崩れてしまう子どももいるため、保育園と家庭での生活サイクルを共有するため、保護者との関わりが重要となる。看護の場では患児と接する機会もあるため、発達段階に応じた遊びの工夫を行い、安全に配慮し関わっていきたい。


◆さくら(3歳児)
 学びと課題 ― 3歳児は食事や排泄など基本的生活習慣が自立に向かう時期である。そのためさくら組では月齢によって大きな差がある。トイレや着替えなど声かけをして促し、できなくても叱らず、焦らず見守ることが大切である。またできた時には褒めて、自尊心が高まるように関わるようにする。
  成長発達の個人差や生活環境に配慮しながら、一人ひとりコミュニケーションを図り、安心して保育園での集団生活を楽しめるように関わることが大切である。
  遊びを通じて社会性を獲得する。身体機能向上や集団遊びも増えるため、事故防止に努め、児の自由で自発的な活動を見守るように接することが大切である。


◆ほし(4歳児)
 清潔について ― 清潔行動の習慣は健康を維持しながら、社会生活を送るうえで大変重要である。遊び、食前の手洗いやうがい、食後の歯みがきなど
清潔行動は幼児期から習慣づけていき、特に歯みがきにおいて、むし歯は永久歯に影響を与えるため、早期より予防に努める必要がある。そのため、歯みがきに対し、嫌がる幼児を抑えつけて行うと嫌悪感を強めてしまうため、遊びの延長で自発的に行動できるように促していくことが重要であると考えられる。


◆すみれ(5歳児) 
 遊びの時のルールについて ― 5〜6歳児は集団あそびに取り組む時期であり、それに伴いルールに対するトラブルも見られ始める。本日の遊びでもルールの対立で、遊びから抜けていく児がみられた。この際の支援方法として、保育者がルールを提示するのではなく、子ども達で意見を出し合い、自分たちが納得して遊べるように促していくことが重要である。保育者は話し合える機会を設けたり、児の仲介役となって今後子ども達がルールを守ってトラブルなく遊べるようつなげていく必要がある。


「保育園の木 ― 楠(くすのき)よ、ありがとう」

高松保育園のせまい園庭の端の方に、樹齢80年で幹の回りが2メートルの楠があります。盛り上がった根っこやくぼみに体を入れて寝ころんだり、ままごとをしたり、落ちてくる小さな花や葉であそんだり、鳥の巣の観察など、ずいぶんお世話になりました。
  保育園の建築にあたり、この楠を残して設計を考えるつもりでしたが、ある日曜日の夜、直径8センチ、長さ80センチ位のくさった枝が落下しているのを発見。子どもが木の下にいなかったことにホッとしましたが、これからもありうることだし、この木がなければ設計上部屋が広くとれることも考え、お別れの時が来たことを知りました。毎日、見上げて共にすごした年月を思うと本当に悲しいことですが、伐採後はこどものイスや台に再生し、これからも園児と共にすごしていきたいと考えています。   (堀 侃子)
                    香川みすゞさんの会通信(7月号)より